日々の生活の中で、犬の散歩という行為を通して、野の道を歩くことを覚え、その風景の中で眼の裏側に過ぎていった光と影の造形がいつの間にか絵として形作られたのかと省みている。
夕暮れの空と木々の仄暗き青さに自身と世界の在り様を映し出すことができそうな気がしたのである。
しかしながら、思考する青としているものの、むしろ思考を停止せざる得ない状況の中で、意味をはく奪されたただの色と形、胸の中の夕闇の野にゆれる幽霊のような青のフォルムをただキャンバスに浮かびあがらせようとしているだけのことかも知れない。
1998年2月
|