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照井 隆 展
目の前を垂直に落果する光の束   
2011.05.03-12 SARP(宮城県仙台市)
 
 
目の前を垂直に落果する光の束

01未曾有の震災を前にして、絵など描いていていいのだろうか。しかし、個展の日程も迫っている。延期にして、違うもっとやるべきことをなすべきか。あらためて自分のartの意義を自問してしまう。

人間の弱さは知っている。強さはどうか。願いとしてなら何とか。頑張るけど頑張りすぎない。できるだけ自然体で無理をしないで、時には成り行きに任せて生きることもある。そんな自分が造る作品。テーマも曖昧のままに目の欲求に従って造形的に展開しているだけの絵が何の役に立つのか雄弁には語れない。脳内快感を求めて造形要素をもてあそぶ遊戯のようなものかもしれない。意味がないと言えばない。しかし明確なメッセージや意味を持たせたくないことは自分の気持ちに正直な姿勢であると自覚している。そのような絵でも、人間が社会的存在を保持しながら生きているということでは、他者や社会とまったくつながらないで成立するものではないと思っている。そして描き発表する行為は自分には生きる力の元のようにも感じられ、それをできる限りやり続けることは自身にとって生きる証そのものであることは自明のように感じます。それはどんな困難な状況にあっても他者や社会にとって共有できるものだと信じたいです。その説得力は作品の力の問題ではあるが、耐え得るかどうか常に自分の制作に還ってくる。それはとても怖いことだけれど。

絵を制作しながら「目の前を垂直に落果する光の束」という言葉が思い浮かんだ。テーマと言うよりは自分の絵の感想みたいなもの。各々絵の題名も同様で何かを暗示しているかもしれないけれど後付けのものばかり。作品そのものが観る人の内なる何かに少しでも響くことができればと願います。

新作F130号から小品まで20点位、油彩(一部アクリル有り)による抽象絵画作品を中心に展示しています。

2011年5月


 
 
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